店長ブログ

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安売りボージョレ・ヌーヴォーの秘密

杉山雅一
更新日

最近よく大手スーパーなどで見かけるペットボトルのボージョレ・ヌーヴォーですが・・・

解禁日にマスコミに報道されるように最安値を謳って通常の平均して2,000円前後の相場のモノが・・・半値以下の800円もしくはなんと!500円なんてモノまであります

う~ん

なぜ同じヌーヴォーなのにこんなに極端に安く出来るのでしょうか?

それは・・・

① ペットボトルという瓶よりも軽い容器のおかげで航空便で日本まで届けられる運賃を重量の面でのコスト圧縮に貢献している点

② 大手スーパーの企業努力で現地から直輸入している点

 無駄なコストは省いてお客様に安く提供している点

大きくはこんなところでしょうか(大手スーパー曰く

しかし!

このような一見するととっても素晴らしくお客様目線に立っているようでも
お客様を裏切りかねないグレーな部分が存在しています

まず上記のようなコスト削減では・・・
本来のヌーヴォー新酒ワインとして店頭に並ぶのは難しいと思います

実は航空便の運賃だけで瓶のワイン一本当たり約1,000円近く発生します

コレをペットボトルにしただけで半値以下に運賃コストを圧縮するのは不可能です

結局のところ中身のワイン自体が安売り用に造られている点が最大の理由だと考えられます

として上げた無駄なコストを省くという点そもそもフランス・ボージョレの現地でワインを造る人たちに安く造るように強要した結果による部分が大きいと言えるでしょう

ここで例えですが

美味しいワインができるコトに誇りを持ってブドウの栽培を一生懸命に努力している人がいたとします

日本企業から今回はとにかく安くできないなら買わないよ!と言われたらどうすると思います?

今までブドウの樹一本につき4房~5房と決めていたところを・・・今回は8房~10房と数量を倍にしたとします

だってたくさんできた方が安く売るコトができますよね

そもそも畑の大きさは変わらないワケだから収穫量を増やすんだったら多く房を実らすしかありません

まあ普通意識の高い生産者だったらそもそもそんな契約しないと思いますがあくまで例えですよ

コレによりブドウ本来の凝縮感は薄れる事でしょう

栽培に対しての情熱は皆無です
だって一生懸命作っても安く買いたたかれるワケですから最初から安くなるのがわかっているんだったら無駄な感情は入らなくなってしまいます

そんな心ない安いブドウを大量に買い付けたワイン商が今度はその材料でいかにコストの採算が取れるのか考え法律すれすれの方法で醸造していきます
噂によるとブドウを絞るにもギリギリまで圧力をかけて果汁を搾りとるらしいですそうすればできるワインの量も増えますよね

そんなふうにしてできたワインが果たして美味しいでしょうか?

ここまで書いてきたコトでも人によっては安いんだったらしょうがないよね

と納得した上で買っていただくコトは消費者の自由です

でもこのようなコトを知らないでヌーヴォーを買われて飲んだ方はどうでしょうか?

ヌーヴォーてこんなに美味しくないんだ~

とあたかもすべてのヌーヴォーが美味しくないという悪い印象が生まれてしまうかもしれません

しっかりと末端のお客様のコトまで考えて美味しさのために情熱を傾けている生産者さんはたくさんいます

そんな造り手のヌーヴォーを・・・
安売りのヌーヴォーと同列に扱わないでほしいなあと思います

そもそもワインは農作物です
ワインはブドウそのモノですから簡単に生産量を調整できるものではありませんましてや日本の大手企業が自分たちの目先の利益だけのために本来の仕組みを壊してしまうコトは絶対にあってはならないコトです

生産者が一年を通して情熱をかけたブドウから造った貴重なワインです
そんなコトを知るとワインをより美味しく楽しめると思います

人の価値観は違うので考え方も様々だと思いますがやはりお酒が好きな者としてはどうしても気にかかってしまうコトでした

 

応援よろしくお願いします!

書いている人

4代目店長
きき酒師/シニアワインアドバイザー
杉山 雅一(すぎちゃん)

高級食品スーパー勤務を経て杉山商店4代目社長に就任日本酒・ビール・ワインありとあらゆるお酒をたしなむ趣味はカメラ愛機はSONYα7III)。特に富士山の写真を撮るのが大好き

プロフィール